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プレスリリース 2009年

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世界初の純緑色半導体レーザの発振に成功

~ 独自開発の窒化ガリウム結晶で実現 ~

2009年7月16日
住友電気工業株式会社

 住友電気工業株式会社(社長 松本 正義)は、半導体から直接発振できる発振波長531nmの純緑色半導体レーザの開発に成功しました。

 レーザ光源を用いたレーザTVや携帯型レーザプロジェクタなどのレーザディスプレイは、高輝度・高精細に加え、従来にない小型・軽量・低消費電力といった特長があり、製品化を目指した開発が活発化しています。現在、光の三原色(赤・緑・青)光源としては、赤と青は半導体レーザで実現されていますが、緑は赤外レーザ光を特殊な光学結晶で波長を変換することで得られており、緑色光を直接発振させる半導体レーザは実現できていませんでした(*1)。 緑色領域では青色発光ダイオードに使用されている窒化ガリウム系半導体が検討されますが、青色から緑色へ波長を長くすることで発光効率が大きく低下するという問題がありました(*2)

 

 当社は、この問題を克服できる窒化ガリウム結晶を新たに開発し、これを用いて半導体レーザでは純緑色領域で世界初となる波長531nmでのレーザ発振(室温、パルス)に成功しました。

 

 今回、当社が開発した緑色半導体レーザの特長は以下の通りです。

1

緑色領域で高品質な結晶

 青色から緑色へ長波長化すると、発光層となる結晶に大きな内部電界が発生するとともに結晶品質が低下することで、発光効率が低下するという本質的な問題(*3)があり、各機関により、レーザを作製するための結晶面方位を変え、発光層に発生する内部電界の影響を弱めることで、発光効率向上を目指した開発が進めてられています。
  これに対して当社では、内部電界を弱めるだけではなく、発光層品質を大きく向上できる結晶を開発し、緑色領域でも高効率で発光できる半導体レーザの開発に成功しました。
 

2

緑色領域で任意波長の選択が可能

 従来の波長変換型レーザでは発振可能な波長が固定されることに対し、発光層を制御することで緑色全波長領域をほぼカバーできる開発に成功しました。これにより、緑色半導体レーザでは最適の波長を選択することができます。また電流を増加させても発振波長の変化はほとんど無いため、高電流下で高出力を狙う用途に有効な技術であると考えています。さらに波長は環境温度による変動が少ない特長を有します。

 なお、今回の開発に関して関連特許は60件以上出願しています。また、詳細な内容は本年7月17日発行のApplied Physics Express誌に掲載予定です。
 緑色半導体レーザの実現により、光の三原色(赤・緑・青)レーザ光源が揃い、これまでにない新しい応用製品への展開が期待されます。当社は、今後も当社独自の窒化物系半導体技術を活用した事業展開を図っていきます。

以上

【補足資料】
写真1.緑色レーザ発振の様子(右下箱にレーザが搭載)

 

【用語説明】

 

※1 緑色レーザ
緑色領域で動作するレーザ。これまで、赤色や青色レーザのように半導体から直接発振できる緑色レーザは存在しませんでした。現在ポインターなどで使用されている緑色レーザは発振波長1064nm前後の赤外レーザ光を波長変換結晶により波長を1/2に変換し、波長532nmの緑色光を発生させており、効率を高めにくく、部品点数が多いことからコスト低減に課題があると考えられています。

 

※2 緑色領域での発光効率低下
LEDでは光の三原色である赤・緑・青がすでに実用化されていますが、緑色領域では窒化ガリウム系、ガリウムヒ素系でも発光効率が大きく低下する効率の谷間が存在します。しかしながら緑色領域は、液晶バックライト、携帯機器用光源、プラスチックファイバ通信用光源などへの応用が期待されるため、高効率・高輝度光源の開発が待望されていました。

 

※3 電界による発光効率低下
窒化ガリウム系材料で緑色領域の発光効率が低下する主な原因は、結晶構造の歪みにより生じた圧電分極によって発生する電界(ピエゾ電界)です。これまで窒化ガリウム系材料は、ピエゾ電界が最大となる結晶方向に成長されており、青色領域では結晶の歪みによるピエゾ電界の影響は効率にあまり影響しませんでしたが、より歪みの大きくなる緑色領域では大きく影響を受け発光効率が低下します。

 

 

 

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